錦鯉による宇宙酔い実験

弥富の錦鯉 宇宙を飛ぶ!!

左から(株)ミワ社長・森教授・毛利衛さん

1992年9月12日午前10時23分フロリダ のケネディ宇宙センターから打ち上げられたスペース シャトル・エンデバー号に、毛利衛(まもる)宇宙飛行士と一緒に2匹の錦鯉が搭載され、名古屋大学環境医学研究所の森滋夫博士を代表研究者とする研究グループが「宇宙酔い」の実験を行った。
この実験に、弥富町をはじめ弥富金魚漁業協同組合が全面的に支援し、実験の成功に多大な貢献をした。
打ち上げの一カ月半前に、日本から耳を手術した 鯉15匹正常な鯉15匹がケネディ宇宙センターへ運び込まれた。
同時に、フロリダのウィンター ヘブン在住のヒロ内藤氏(釣ルポライター、向井千秋 宇宙飛行士の弟)宅に設置された支援プールにもほぼ同数の鯉を送り緊急事態に対応した。
実際にケネディ宇宙センターで、停電のため多数の鯉が 死亡するという事故が発生し、この支援体制が窮地を救った。このような鯉の宇宙実験にともなう エピソードはリバティ書房から1994年6月に発刊された一般書 「宇宙へ飛んだ鯉」(著者:森 滋夫)に網羅されている。

耳石をとった鯉(頭に2つの傷がある)

スペースシャトルに搭載する鯉は、産卵を避けるためまだ生殖機能が未成熟な2歳鯉でしかも体長25センチメートルの大きさが要求されたので稚魚の段階から給餌量、飼育密度を調節しある程度の大きさになってからは運動量にも考慮を払う必要があった。
鯉の宇宙実験は、魚飼育の新しい技術開発のきっかけともなった。
宇宙鯉の兄弟たちは今なお日本各地で健在である。
著:森 滋夫